Kishin Shinoyama ‘La Maison de rendez-vous’ at Hara Museum

1960年代から現在まで常に写真界の先頭を走り続けてきた篠山紀信の個展「篠山紀信×原美術館=快楽の館」が、9月3日より原美術館で開催される。

Kishin Shinoyama , La Maison de rendez-vous 篠山紀信「快楽の館」2016年 ©Kishin Shinoyama 2016

2012年以来全国各地の美術館で巡回中の「篠山紀信 写真力」とはまったく異なるコンセプトにより、原美術館だけで開催する本展は、1938年完成の邸宅が元になった原美術館を、篠山紀信がカメラによって《快楽の館》に変貌させる。出品作品はすべて撮り下ろしの新作で、およそ30名にものぼるモデルを起用したヌード写真(1点残らずこの原美術館で撮影したもの)。実在の空間と展示された写真の中の空間が交錯し、紡ぎだす恥美で幻惑的な世界をぜひご堪能あれ。

篠山紀信が創る「快楽の館」
ヌード写真の歴史はそのまま写真の歴史であると言ってもよいほど、写真の草創期(19世紀前半)から裸体を撮った写真は存在します。それはヌードが写真の本質に触れるものであり、写真が人を惹きつけてやまないメディアであることを如実に物語る主題であるからでしょう。篠山紀信は日本大学芸術学部の卒業制作から現在に至るまで数多くのヌードを撮り、人が《裸であること》から創りだし得る表現に挑戦を続けています。今回も、当館を舞台に「快楽の館」を創りだすために、全作品の主題をヌードで一貫させました。

撮影は展覧会入れ替えの休館期間を利用して敢行されました。作品のない空っぽの展示室、竣工当時(1938) の面影が残る階段、木々が繁り落葉が舞う庭、通常は公開されない屋上、さらには当館特有の常設展示空間(第 3節を参照のこと)など─ 篠山紀信は館内のあらゆる場所で、佇み・座り・横たわり・跳び・躍るモデルに カメラを向け、シャッターを切り続けました。そして、空間は身体のための背景ではなく、身体と空間が織り 上げる、濃密なイメージの世界としての「快楽の館」が生み出されたのです。展覧会としては、当館の5つの 展示室それぞれで変化をつけながら、重層的に「快楽の館」の世界を奏でていきます。

篠山紀信展 快楽の館
日程:2016年9月3日〜2017年1月9日
場所:原美術館
住所:東京都品川区北品川4-7-25
時間:11:00 – 17:00
(祝日11/23をのぞく水曜は8:00pmまで/入館は閉館時刻30分前まで)
料金:一般1,100円、大高生700円/原美術館メンバーは無料/20名以上の団体は1人100円引

shinoyama_kishin 篠山紀信「快楽の館」2016年 ©Kishin Shinoyama 2016
Kishin Shinoyama , La Maison de rendez-vous 篠山紀信「快楽の館」2016年 ©Kishin Shinoyama 2016

美術館は作品の死体置き場、
死臭充満する館に日々裸の美女が集う。
美女たちの乱舞、徘徊、錯乱、歓喜、狂乱、耽溺……
あらゆる快楽がこの館でくりひろげられる。
幻蝶が舞う夢と陶酔の館。
この祝祭は初秋の夜にはじまり、歳明け、厳冬の朝に散る。
たった4ヶ月余の一度だけの狂宴。 お見逃し無く。

2016年 篠山紀信

The Hara Museum will hold a solo exhibition by Kishin Shinoyama, a photographer who has remained at the forefront of his field since the 1960s. Shinoyama currently has an ongoing exhibition, THE PEOPLE by KISHIN, touring museums throughout Japan since 2012. The exhibition at the Hara Museum, however, will be based on a completely different concept and will appear only at the Hara Museum. For its theme, Shinoyama will use the power of his camera to transform the museum, a former private residence completed in 1938, into “la maison de rendez-vous.” All works will be created specifically for the show with some 30 different nude models as their subject. All shooting will be done on location at the Hara Museum. The result will be a fantasy world of intoxicating beauty that arises from the melding of actual space with photographic space.

Kishin Shinoyama ‘La Maison de rendez-vous’September 3 (Saturday), 2016 – January 9 (Monday, national holiday), 2017